粉体物性特性 ~粒度分布測定方法を中心に~

粉体物性値の測定とは

物質には、気体・液体・固体の3つの状態がある。それぞれ一定の条件下であればその状態は変わらない。一方、粉体というものを工業的に扱おうとすると、それは3つの状態を気まぐれに振舞う。ある時には気体のようにふわふわ舞い、またある時は液体のように止め処なく流れ、そして油断していると固体のように動かなくなってしまう。その振る舞いには悩まされるが、上手くご機嫌(対策)を取る事で扱えるようになる。そのため粉体はいつまでも興味を抱かせてくれる。
粉体は大きくこれらの性質を示すほかに、各産業界で求められるものに流動性、分散性、表面活性、帯電性、印字性能などさまざまな物性特性をもつ。これらを最適にコントロールして材料設計する事により、その材料の期待される性能が得られる。コントロールは主に粉砕・分級などの操作によって粒子の物性特性を変化させて行う事が多い。
粉体の物性値は、粒度分布、粒子形状、粉体表面積、熱特性、粒子結晶性、粉体流動性、等さまざまである。当社では、粉砕・分級操作をメインで扱う事もあり、粒度分布をその評価に使う事が多い。
粒度分布を確認するには、顕微鏡で拡大して覗き込み直接測るのが確実であるが、その手法は人手評価なので時間がかかり、また評価部分が全体のうちの僅かであることから、あまり使われることはない。
以下に主な測定原理を示す。測定原理は種々あり、実際には目的に合わせた測定方法を選択する。それぞれの原理でどのように粒径を算出しているか理解しておくと結果の考察に役立つ。

粉体物性値の測定とは

代表的な粒度分布測定方法と測定装置の一例

(1)レーザー回折法

液体あるいは気体中に分散させた粉体にレーザーを照射し、屈折・散乱光を得る。これが粒度と相関があることを利用したもの。数分という比較的短時間で測定できるが、粒子の分散状態により結果が異なるので注意する。1%以下の微量分析には向かない。

レーザー回折法
(2)撮像法

ストロボ光を照射して粒子を直接撮像する方法。粒度分布のほか、粒子形状の解析も可能。

撮像法
(3)沈降法

流体中を落下する時の速度が、粒子の大きさ毎に違うことを利用した測定方法。

(4)電気抵抗法

粒子が細孔を通過したときの電気抵抗値が異なる事を利用した方法。粒子数をカウントできるので、体積分布と個数分布の両方の評価ができる。1回の測定で5から10万個測定するので、微量分析に向く。

電気抵抗法電気抵抗法

コールターカウンタMultisizer3(ベックマン・コールター株式会社)

(5)電子顕微鏡法

1μm以下の粒度測定は各種測定器で原理的に難しい。そのため直接粒子の撮像・観察して統計データーを得る。

電子顕微鏡法

走査型電子顕微鏡(SEM)

(6)比表面積法

気体(窒素)を吸着・脱着させ単位重量あたりの粉体の表面積(比表面積)を測定し、粒子径と相関づける方法。

比表面積法

Macsorb HM model-1208/1210(株式会社マウンテック)

(7)篩通過法

粉体を篩に直接通過させるため、目標に対する残量などが明確に得られる。40μm以下位から抜けが悪くなるので注意が必要となる。振動重量落下式。ジェット吸引式などがある。

篩通過法
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